コレクター精神というのは

コレクター精神というのは男性特有のものだろう。




何かを、片っ端から集めて、揃えて、悦に入る。





女性の場合、リカちゃん人形を楽しむとき、

洋服やアクセサリーといった装着品を揃えて

楽しむようだが、男性がリカちゃん人形で楽しむと

いったアブないケースの場合、洋服うんぬんより

歴代のリカちゃん人形をコレクションしてみたり、

リカちゃんファミリーを勢ぞろいさせたりして

楽しむらしい。




男性と女性で、楽しみ方がまったく違う。






自分の子供の頃にも、コレクション遊びという

ものはあった。




プロ野球チップスの野球選手カード、

あれは歴史が長いコレクション遊びだろう。



近鉄バッファローズの大石選手のカードが

宝物だった。





ビックリマンシール」は一世を風靡した。



チョコをはさんだウエハースのようなお菓子を

買うと、中にキャラクターシールが入っている。



金色にかがやくスーパーゼウスや、ゼウスの

孫のヘッドロココが出てくるのを心待ちにして、

学校帰りの駄菓子屋で毎日買い集めていた。



シール集めに没頭して、勉強する暇はなかった。




お菓子のほうには用は無い、と捨てる者が多く、

それを見て、"要らないならそのお菓子をくれよ"

と、みんなからお菓子をもらっては食べ漁るヤツが

一人いて、彼は"ビックリブタ" と呼ばれていた。




ちなみに彼は、シール集めに没頭しなかった

おかげで、優秀な成績でトップ校へ進学した。






中学高校になっても、友人達は、好きな漫画家の

コミックを揃えたり、ガンダムの模型を集めては

見せびらかしたりしていた。





自分も、なにか独自のコレクター趣味を持とうと

考え、ビートルズのCDを片っ端から揃えた。




途中でビートルズだけでは飽き足らず、

ストーンズゾンビーズザ・フーキンクスなど

英ロックバンドのCDやレコードを収集した。




音楽関連の仕事をしていたこともあり、5年ほどして

その数は3000枚を越えるほどになった。




ある日、金に困ってブックオフへ売りにいったところ、

店員さんたちはその数に驚き、明日また来て下さい

といった。翌朝行ってみると、ブックオフの社員だと

いう男性が3人、個人として買いたいものがあるので

今ここで譲ってほしい、という。そのまま店が買い

取ってしまったら、本部管理になって高値がついて

しまい、個人で買いづらくなるからだという。




笑って譲ってあげたが、数ヶ月後にネットオークション

の存在を知り、いささか後悔した。






昨今では、お菓子のオマケが流行っている。




お菓子についてくるオマケ玩具のシリーズの

全種類を揃えた状態を「コンプリート」というそうだが、

そのコンプリートセットを作るのがコレクターの夢らしい。




"中にどのオマケが入っているかは開けてからのお楽しみ"



というわけなので、コンプリートするためには膨大な時間と

費用と根気を要する。コレクターにも汗と努力があるのだ。




ちなみに、自分の友人は、コレクションの趣味は全く

ないのだが、このコンプリートセットをネットオークションで

売ると非常に高値で売れる、という仕組みを早く発見し、

自分でお菓子を片っ端から買い集めては、

オマケを揃え、コンプリートしてネットで売る、という

アコギな商いを副業にしていた。




ちなみに、このアコギな友人は、現在、うちの会社の

経営陣のひとりだ。いまはそれほどアコギではないが、

いつか性根を現すときがくるだろう。






自分の友人の中でもっともコレクター精神旺盛だった

のは、一緒にバンドをやっていたときのリーダーだ。



ウルトラマングッズ専門のコレクターをやっていて、

部屋一面がウルトラマンで溢れかえっていた。



自分はその価値がまったく解らなかったが、

彼が言うには、"開運なんでも鑑定団"に出せば

50万円ぐらいの値がつくようなものがゴロゴロ

しているらしい。ちなみに、なんでも鑑定団では

ないが、コレクター系の番組には何回か出演した

らしい。顔を出すのがイヤで、いつもウルトラマン

覆面マスクをかぶってテレビに出ていたそうだ。






そんなこんなで、自分や友人達のコレクション話を

書いてみたが、なぜこんなことを書いたのかというと・・・







実は、昨日から、あるグッズをコレクションし始めた。




『ブルボンキーホルダー』というものだ。




ブルボン、というのはお菓子のことではない。

50年代から80年代にかけて、フランスの企業の

販促用キーホルダーを作り続けた、ブルボンという

キーホルダーメーカーのことだ。



ある雑貨屋さんで見かけて、その美しさと可愛さに

トリコになった。




フランス企業のロゴマークやポスターは、どれも

デザインに優れていることはよく知られているが、

それらをモチーフにしたキーホルダーは、非常に

手が込んでいて、見ていて飽きない。




これまでに数千種類が作られていて、もう廃業に

なってしまっているので新しいものが作られることは

ない。どれを求めても"アンティーク"というわけだ。



安いものは数千円、レア品になると数万円、という

コレクター向けのグッズなのだが、どうも日本国内

ではそれほど流行っておらず、ブルボンキーホルダー

に関する本も、いまのところ一冊しか世に出ていない。




このマニアックさが、なんとも楽しいではないか。




金にまかせて手当たり次第に集めていくのも芸がない

ので、とりあえず、「三日に一個、ネットで買う」と決めた。

なるべく安いものを買い、何か祝い事があったりすると

ちょっとレア品に手を出してみよう、と思っている。





ささやかな楽しみだが、

男に生まれた以上、こういった子供心を失わずに

いたいものだ。





END