有名女性誌の今年の人気芸能人

有名女性誌の今年の人気芸能人ランキング、

やはり例年通り、キムタクがナンバーワンなのだそうだ。





齢30を過ぎ、結婚し、子供もいるというのに、この人気は

凄い。なんというか、ハリウッドのトム・クルーズ的に

恒久的な人気をとってしまいそうな勢いがある。




キムタクが世に出てきた頃、とても嫌いだった。

理由はシンプルで、松田優作を真似ていたからだ。



芸能人でも映画俳優でも、何かベースとなる先人が

いて、そのスタイルを真似ることで成功した人は多い。

怪優ともいうべき丹波哲郎にしても、個性的演技の代表格

田村正和にしても、やはり模倣の対象となる先人がいる。



キムタクが松田優作を真似ても、それは非難されるべき

ことじゃない。ただ、個人的に嫌いだった。




しかしその後、SMAP×SMAPなるTV番組がはじまり

その中でキムタクは、いとも手軽に、松田優作を真似る

バラエティーコーナーを始めてしまった。



このあっけらかんとした姿勢に、逆に好感を覚えた。




ラジオ番組の中で、好きなAV女優の名前を挙げたり、

工藤静香のファンと告白し、その当の本人と結婚する。



ジャニーズの歴史において、人気トップ期の結婚という

前代未聞の事件を起こしておきながら、それでいて

相変わらずトップ人気を誇っている。これは凄いことだ。




ジャニーズ事務所のマネジメント戦略も優れている。

結婚を境に、タレントスタイルを徹底的にハードボイルド

路線に傾けた。家庭的な匂いを完全に消し去った。



先日のテレビの「ぐーたん」で、工藤静香が出ていて、

子供との生活の話は大いに披露したが、旦那に関する

話は一切しなかった。テレビの前の女性達は残念がった

だろうが、これは事務所とテレビ局の暗黙のルールだった

と伺い知れる。




前のブログでも書いたが、一度だけキムタク本人と会った

ことがある。テレビのインタービューシーンに出てくる

ヒルなイメージと違い、楽屋で話すキムタクは、明るく

柔らかいイメージだった。人懐っこい感じすらあった。



生い立ちも一切不明、私生活も不明、というのがジャニーズ

タレントのルールになっていて、キムタクも同様の扱いに

なっているが、おそらく幸福な環境に身を置いているだろう。



だが、女性誌で支持されるキムタクには、柔らかさや幸福さは

微塵も感じられない。危険でハードボイルドなイメージだ。




オダギリジョーにせよ誰にせよ、女性が憧れる男性像は

どこかスサんでいて、Sっぽいオトコに偏っているようだ。






さて、自分の中での芸能人ランキングを挙げてみよう。




あまりテレビを観ないし、極めて流行に疎いタイプなので、

かなり妙なランキングになると思う。





10.所ジョージ

9.キムタク

8.おぎはやぎ

7.関口宏

6.ふかわりょう

5.浅野忠信

4.長州小力




とりあえず10位から4位までを挙げた。




所ジョージは、別に好きではないのだが、

"趣味で生きる男"というスタイルを確立させたという点を

評価してランクイン。たまに彼の自宅の中を紹介する

企画コーナーが放映されていたりするが、そのときは

どんな裏番組にも浮気せずに観る。とても面白い。




キムタクは、冒頭から書いた通りだ。評価は高い。




おぎやはぎは、話の引き出しが多い。決して生放送に

強いわけではなく、エピソードの引き出しで勝負する。

この努力を評価したい。




関口宏は、声の良さ。この一点に尽きる。

チャンネルを回していて、彼の声が聞こえてくると

とりあえず手を止めてしまう。声のパワーが凄い。




ふかわりょうは、単純に好きだ。

笑いのツボというか、そういうものを作る才能がある。

古くはタモリ、直近ではダウンタウンがそれをやって

いたが、ふかわりょうはとても長くチャレンジしている。

もう少し頑張ればタモリになれる気がする。




浅野忠信は、俳優としてスゴイ。顔の存在感がスゴイ。

もしチャンネルを回していて、関口宏の声が聞こえる

チャンネルの裏で、浅野忠信が一言もしゃべらずに

ただ顔のアップで黙っていたとしたら、いい勝負だろう。




長州小力は面白い。芸人としてバランスがとれている。

まず、"出オチ"(舞台に出てきただけで笑いがとれる)で、

しゃべりもイケて、芸ネタは完全に計算ずくし。

ネタをやるのに、カンペ(カンニングペーパー)を手に

舞台に出てきて、ネタの途中で内容を忘れて、こっそり

カンペを見る、という手法で笑いをとったりする。

これだけのことでも、賢さが分かる。






10位から4位までを挙げたが、この順序を決めるのに悩んだ。




芸人コンビのイツモココカラと、NHK教育の「できるかな」の

ノッポさんが、残念ながら番外となってしまった。




明石家さんま、島田伸助、ダウンタウンあたりはランクイン

しそうだが、彼らは絶対に入らない。




理由がある。「お笑いSE」というテレビ専門用語がある。



SEとは"サウンドエフェクト"の略で、例えばクイズ番組で、

司会者が「問題。」と言ったあと、"ダダンッ!"という効果音が

入る。これは、スタジオ収録のときには入らずに、編集の段階で

ディレクターによって故意に入れられる音源だ。



お笑いSEとは、誰かが面白いことを言ったあと、"ワハハハ"と

笑い声が入る、あれのことだ。つまり、スタジオ収録のときは

起こらなかった笑い声を、編集の段階で入れる。



前述したランクインしない芸人さんたちは、自身の司会番組を

たくさん持っている。そのどれもが、編集段階で「お笑いSE」を

入れたものだ。さんまのからくりTVのコーナーなどヒドイもので、

収録では何にも笑いが起きなかったとしても、編集段階で

"ワハハハハハハッ"という爆笑SEを入れることで、茶の間の

視聴者を無理に笑わせようとする。



テレビ番組の手法としてはそれもいいだろうが、それが

芸人の力量や才能を表わしているわけでないのは明白だ。

だから、「さんまのからくりTV」、「ダウンダウンのガキ使い」、

行列のできる法律相談所」の類は、完全に欄外としてみなす。






3位から1位を挙げよう。





第3位はビートたけし



これは妙な言い方になるが、彼の人生がすごい。

コントを流行させ、それが廃れる前にバラエティーへ行った。

そこで若手を養い、事業家になり、映画へ足を伸ばした。



俳優として行き詰ったころ、スクーター事故で顔が壊れた。

壊れた顔が、彼を名優に仕立て上げた。



監督業。「座頭市」は、自分の中でも最高の映画の一つだ。



結果、ビートたけしという生けるエンターテイメントになった。

これだけで、日本の芸能史に残る最大の人物といえるだろう。



あえて言うなら、たけし軍団からは一流の名優が育っていない。

渡哲也や舘ひろしを生んだ石原軍団のようになってほしい。





第2位は、関根勤



おぎやはぎも含めて、今の日本の芸人というのは、笑いの

引き出しの多さ、ネタの完成度の高さで勝負している傾向が

あるが、この人の場合、根っからの芸人だろう。



引き出しもネタもなく、ただライブ環境だけで強い。

笑いを取ろうとするとき、話を自分の方向へ引っ張ってきたり

せず、自分のワールドへ引き込むこともせず、ただその位置の

ままで笑いを取ることができる。長々としゃべらない。

とても簡潔な言葉で、短くしゃべり、それで長い笑いを取れる。



高田純次もそれに近いが、彼よりも数倍すごい。



ひとつだけ分からないのが、彼が萩原欽一の愛弟子だと

いうこと。欽ちゃんのどこが面白いのかさっぱり分からない。

だが関根勤という面白い人間を生んだというだけで、やはり

すごい人物なのだろう。






そして、第1位。





ここは全く悩まなかった。文句なしで、江頭2:50




なんというか、理由のつけようがない。




あえて言うなら、江頭2:50のことを"真の芸人"と呼び、

彼を除いた他の芸人は、"テレビ芸人"と呼ぶべきだろう。




江頭2:50は、面白いことをしゃべらない。

人を笑わせようとしない。そして、自分も笑わない。

何かに対して、脇からコメントすることもない。

面白い企画に参加したり、面白いコーナーで立ち位置を

確保しているわけでもない。他人の補佐は要らない。

ただ純粋に「江頭2:50が面白い」のであって、

それ以外の他の要素は、まったく存在しないのだ。



これこそが芸人の最高の存在価値だろうと思う。




ハゲでおっさんで痩体でタイツ姿、という初期のスタイルを

頑なに通し続け、芸人としての生き方をまっとうしているが、

彼の才能があれば、別のジャンルで一流になることも

可能だと思う。




例えば、いかりや長介は、あのオッサンキャラとイカつい

顔を生かし、晩年は名俳優として活躍した。

いかりや長介が俳優業をロケットスタートさせた背景には、

バラエティー番組の"怒ってばかり長さん"のイメージから

一転し、男らしいはにかんだ笑顔や、背中で泣いてみせる

演技を見せた、その裏返しのインパクトにあった。




もし、自分が江頭2:50のマネージャーだったら、

本名の江頭秀晴の名前で俳優としてデビューさせたい。



彼の年齢に合わせた人物設定で、キャラ的には、

"社会に溶け込もうと嘘をつき続けているが、最後の最後で

正直さが表に出てしまい、いつも閑職を過ごしている男"

といったスタイルが適しているだろう。



もしくは、もっと暗い影を落としたキャラクターでもいい。



いつも裸であることを生かして、格闘ものでもいいだろう。




松本大洋という大好きな漫画家がいる。

彼の代表作「ピンポン」は実写映画化されているのだが、

最高傑作ともいえる作品「ゼロ」は、まだ映画化していない。



無敵を誇る初老のボクサーは、とても不器用で孤独な存在。

その生き方を抽象的に描いた傑作なのだが、この主人公

五島雅を江頭2:50にやってもらい、実写化してほしい。



映画は間違いなくヒットし、江頭の俳優人生は好スタートを

切るだろう。





だが、俳優業など別方向へ行くことは無かろうとも思う。




彼の魅力が、ストイックなまでの芸人魂、にあると分かって

いるからこそ、自分の芸能人ランキングの中で、10年来に

渡って第1位に君臨し続けているわけだから。






江頭さん。今、あなたが何処で何をしているのか知らないが、

これから先も、体に気をつけてがんばってほしい。





END