芸能人はシビアな仕事だなぁ

芸能人はシビアな仕事だなぁと思う。





あの島田伸助が、五日間も入院して、ようやく仕事に

復帰したというニュースが流れていた。

入院する前の三ヶ月は、仕事の合間に点滴を打ちながら

しゃべり続けていたという。

だが、芸能界では、風邪をひいたら点滴、というのは

別に珍しいことではないようだ。




島田伸助もそうだが、みのもんたタモリといった

多数のレギュラー番組を持っている芸能人は、

スタジオ収録などの拘束時間が長く、

覚えるべき台本の量もハンパじゃなく、大変だ。



何より、番組視聴率というプレッシャーが両肩に

のしかかり、この数字のいかんによっては

今後の芸能人生が変わってしまうわけだ。

肉体的にも精神的にも、シビアすぎる仕事だろう。






自分は以前、テレビ業界にいたことがあり、

芸能関係にも携わっていたので、幾人かの芸能人と

出会ったことがある。




その中でも、格別だった存在は、明石家さんまだ。



東京の芸プロの知り合いと一緒に、名古屋から東京に

移動する新幹線の中、ヒョイとさんまが現れた。

普通だったら、帽子やサングラスで変装してそうなもの

だが、彼は、いつものテレビに出ているような服装で、

他の客から声をかけられても、「やあどーもどーも」と

いったノリだったので驚いた。



キョロキョロしながら、ふと自分と同行している友人の

姿を見つけて、おー久しぶりやなぁー、と言いながら、

隣の席に座り、そのまま、品川駅に到着するまで、

マシンガンのようにひたすらしゃべり続けていた。

まさに、テレビそのままといった人だったので、

まるで古くからの友人に会ったような感覚で、

いろいろとしゃべることができた。



博多のラーメンの何処が美味いか、といった

ありきたりの話ばかりだったが、これが彼の

手に(口に?)かかると、どんな普通の話題も、

話が非常に幅広くなり、とても盛り上がった。

あれは、技術や能力というより、生まれもった

才能というものだろう。





出会ったときの好感度の高さでいうと、明石家さんま

も捨てがたいが、なんといってもキムタクだ。



楽屋でスタンバイをしているSMAPのメンバーを目の前

にして、幾分緊張していたのだが、たまたま彼らと親しい

音楽イベンターがいて、自分とも親しかったので、

彼を通じてメンバーに自己紹介したところ、キムタクが、

"九州から来たと?そんな遠くから来んでもよかろーもん"

と、歯切れのよい九州弁で笑いかけてきたのには驚いた。



後から知ったのだが、芸能人にとっての大敵である

週刊誌や芸能リポーターにとって、一番愛されていて、

人気の高い芸能人は、キムタクなんだそうだ。

実際、キムタクを叩くような発言をする芸能リポーター

いないし、悪く書く週刊誌も少ない。



もちろん顔も声も格好よく、ナンバーワン芸能人という

オーラも身にまとっていたが、その中でちょっと嬉しかった

のは、彼は足が短い、ことだった。

"天は二物を与えない"とはよく言ったものだ。





そういう意味で、天に二物も三物も与えられていると

いえるのが、舘ひろしさん。

思わず"さん"をつけてしまうほど、完璧だった。



背は高く、顔が小さく、ニヒルでダンディで声も渋く、

足は外人のように長く、笑顔も素敵で、

アシスタントの女の子がボールペンを落としたのを

見て、さりげなく拾ってあげたりするシーンもあり、

ああ、この人にはどんな男も勝てないだろう、

と思わせられた。彼に口説かれて心が揺れ動かない

女性など、この世のどこにもいないだろう。





女性でいうと、原田知世



スタジオに現れた瞬間、女性スタッフからため息が

もれた。男性スタッフのひとりは、緊張して声が

裏返っていた。なんというか、オーラがすごい。



とにかく細い。顔が小さい。美人。スタイルがいい。

そして、回りを包み込むような優しい笑顔と仕草。

原田知世が最高、というのは、彼女と出会った

どのテレビ関係者も、口を揃えて言うそうだ。




森高千里も、負けず劣らず美人だったが、

原田知世には敵わないだろう。





エピソードとして面白かったのは、ガダルカナルタカ

夫人・橋本志穂さんと食事をしたときに聞いた話。



ガダルカナルタカは、言わずと知れたビートたけし

筆頭弟子。橋本志穂さんも、タカさんと付き合っている

頃から、何かとたけしさんには可愛がってもらっていた

そうだ。



彼女が、タカさんからのプロポーズの言葉を教えてくれた。



「俺にとって一番大切な人は、たけしさんだ。

だから、お前は俺と結婚しても、俺にとって二番目に大切な

存在にしかなれない。それでも俺と一緒になるか?」



それを聞いた自分や周りのスタッフは、そんなプロポーズは

聞いたことがないし、二番目だなんて言われてOKする女性

なんていないでしょう、と笑ったのだが、

志穂さんは、そのプロポーズの言葉に、感激で涙を

流して、その場で快諾したという。



"あのたけしさんの次に大切だ、と言われることが

どれだけすごいことなのか、

それは、ビートたけしという人を知り、彼の弟子達がいかに

たけし師匠を大切にしているかを目の当たりにしたことの

ある人間にしか分からない"、のだそうだ。




そのたけし師匠の素晴らしい逸話も聞いたのだが、

ここはやはり爆笑エピソードを紹介しておこう。




あるとき、軍団のメンバーが居酒屋の座敷で飲んで

いたところ、急に、たけし師匠が来る、というので、

ここは面白いことをやろうぜと、メンバー全員、

パンツ一枚になって並び、たけし師匠が座敷に入って

きた瞬間、「お待ちしておりました!」と皆で頭を下げた。



すると、たけし師匠は、



「おまえら、なんて格好してるんだ?恥を知れ!」



と怒鳴りつけたので、メンバー達は慌てて顔を上げた。



そこには、真っ裸のたけし師匠が立っていたという。





もうひとつ、爆笑エピソード・・・ではないが、

あまりの驚きに絶句してしまった芸能人エピソードがある。




テレビ朝日のスタジオ脇の喫茶スペースで打ち合わせを

していたところ、ひとりの老女がお供を連れて歩いてきた。



これがかなりの婆さんで、顔はヨボヨボ、頭はハゲあがって

コホコホと席をしながら歩いていたので、



"あのバアさん、ここが病院って勘違いしてんじゃない?"



と、テレビ朝日社員のスタッフに言ったところ、

彼は凄く慌てた顔をし、すぐに渋い顔をして、こう言った。





"黒柳徹子さんですよ、何言ってんですか!"





・・・・いや、あの時ほど驚いたことはない。





何だか、ただのエピソード集になってしまったが、

とにかくも、芸能人というのは大変な仕事だ。

つくづく、自分はそういう方面への夢や才能が無くて

よかったなぁと思う。





END