”脳”に関する本をいくつか

"脳"に関する本をいくつか手に入れ、読んでいる。




脳、といえば、右脳と左脳に分かれているもので、

それぞれに役割が違う、程度の知識しかなかったので、

もう少し勉強したいと思い、いろいろと読んでみたところ、

結局、たいしたことは分からなかった。




外国人は、鈴虫の音が"雑音"に聞こえるが、

それは左脳で認識してしまっているからで、

もし右脳で認識すれば心地良く聞こえるのだ、とか、



子供がテレビゲームをするとき、

左脳でゲームを解き、 右脳で音楽を聴くので、脳を

バランスよく使えていて実は脳の発達には良いのだ、

とか、その程度のことだ。





だが、ひとつだけ面白いことが分かった。





"三つ子の魂、百まで"というのは、

幼い頃に培ったシツケや考え方が老年まで続く、

という意味だが、



"七つ子の脳、百まで"という言葉が本にあって、

これは、七歳までに、脳の部分のどこを重点的に

使っていたで、老年までの脳の使い方が決まるのだ、

という意味らしい。




これを、人それぞれの身に振り替えて、とても顕著に

表れてしまうのが、学生の頃の成績表だという。




国・数・社・理・音・美、という六つの学問に分けた

場合の、学生の頃の成績表が、じつは大人になっての

脳形成に、そのまま反映されてしまうそうだ。



これを知って、そのまま自分に当てはめてみると、

ああ、まさにその通りだ、と、深く頷いてしまった。




自分の、学生の頃の成績表を、五段階評価で

ザックリと書いてしまうと、



国・・・3  数・・・1  社・・・3

理・・・2  音・・・5  美・・・4


と、こんな感じだろう。



数・理の、"左脳系学問"に、手も足も出なかった。

逆に、音と美の、"右脳系学問"には異常に強かった。




高校の数学テストの時、回答どころか問題の意味も

解らず、 仕方ないので、答案用紙の裏に教員の

似顔絵を書いて提出したところ、職員室に呼び出され、

数学の教員に手を引かれ、無理やり美術部に入部

させられた、という武勇伝を持っていたりする。

美術部員の先輩達は大笑いしながら迎えてくれたが、

どの先輩を見ても、全員、右脳バカといった感じで、

数学・物理に強い人間が誰もいなかったので、

ホッとした覚えがある。




自分は幼い頃から音楽をやっていたので、

学校の成績はもちろん良く、友人にも音楽仲間が

多かったが、面白いことに、

数学に強い人間は皆無だった。



音楽という学問は、演奏と作曲の二つのジャンルに

分けられていて、自分はそのどちらも勉強したのだが、

作曲のほうは非常に数学的で、リズムや音程を作る

のに、電卓を叩きながら進めることもある。

タバコの箱の設計に代表される"黄金比"という言葉が

あるが、音楽にも"黄金律"というものがあって、



例えば 一小節が四拍子だとすると、

単純に、1−1−1−1、の 区画で分けられるのだが、

これを細かい音符やリズムに 分けるとき、

2/4−3/4−2/4−1/4−3/4−3/4−2/4、 と分けてみると

アシッドジャズの黄金律になる。これをさらに縦に割ると

立体的な音楽になって、人の 耳に心地良く伝わるのだが、

そこまでしっかり計算して曲を作ることなど、左脳に弱い

タイプの人間にはムリな話だ。無論、自分も友人達も、

作曲の道に進めた者はひとりもいない。



逆に、楽器の経験もない人間が、作曲で成功した例は

多くある。

左脳タイプが作曲し、右脳タイプが 演奏する、

これがもっとも効率的な方法なのだ。




この左脳タイプと右脳タイプの関係は、人間付き合いや

会社運営においてもいえることで、ここがうまくバランスが

取れれば、お互いの相乗効果で物事がうまく行く。




例えば何か問題が生じたとき、それを解決するために

いろんな分析が必要だが、左脳タイプと右脳タイプでは

その問題を直視するときの、目線の角度が、まったく違う。



なんというか、実に表現しにくいのだが、

左脳タイプは、「問題を解決すること」を先に考え、

右脳タイプは、「問題が無くなってしまうこと」を先に考える、

そんな感じだろうか。



「これをこうやったら、最後に問題が解決する」という左脳、

「問題が無くなるために、これをこうやればいい」という右脳、

つまり、物事を考える順序の違い、とも言えるかもしれない。




実際のところはどうなのか解らないが、自分の友人や仲間達を

観察するに、いつもこのパターンである気がする。




しかし、たまに、右脳と左脳を上手に使い分けることのできる

人間がいて、実にうらやましいと思う。



以前勤めていた会社に、会議の席で、右脳タイプの人間が

旗をもって進めるときは左脳に徹し、逆の場合は右脳に徹する

といった立ち回りができる先輩がいて、彼を心から尊敬した。



また、知り合いに素晴らしいイタリア料理を作るシェフがいて、

いつ食べても寸部の味の狂いもない料理を出してくれるので

まさに左脳に強いわけだが、その一方で絵がプロ並に上手く、

しかも生け花の草月流の師範免許持ち、という人がいて、

いったいどういう脳をしているのかと驚いてしまう。





自分は、"右脳最強"と信じているので、いまさら左脳を鍛え

ようとは思わないが、逆にそのぶん、左脳に強い友人を

大切にしよう、と思っている。





END